私は情報工学の知識を生かして奉職するつもりでいたので, 国家公務員Ⅰ種では理工Ⅰ (情報工学の中でも数学色が強い分野での受験は理工Ⅱになる.), 国家公務員Ⅱ種では電気・電子・情報の分野で受験した. 試験科目別に利用した教材を紹介する.
公務員になるためには試験を受けて合格する必要があるということは, ニュースでも国家公務員試験の合格発表の様子が伝えられることから広く知られているところであるが, 実際に, どこでどのような試験を受ける必要があるのかは知識が無かった. そのような知識を得るための本を紹介する.
国家公務員に限らず, 全国の地方公務員試験, 警察官, 消防官など, ほぼ全ての公務員試験に関する日程をまとめた本. ただし, 最近は試験制度の改革の真っ只中であるので, 必ず最新版のものをチェックするとともに, 各官庁のウェブサイトなどを参照し, 職員採用情報を得るようにしたい.
行政官 (法律, 経済, 行政) の情報は比較的多いが, 技官 (電気, 土木, 機械など) の情報は乏しい. この本は数少ない技官になるための情報集である. 最終合格後に行う官庁訪問の例も掲載されているので, 技官を志す人は必見だろう.
行政官としても, 技官としても, 国家公務員としても, 地方公務員としても, 必ず受験することになる教養分野に関する問題.
通信教育教材の定番. やや高価だが, 公務員予備校に通うつもりが無いならこの教材をお薦めしたい. これを一通りやってみて, どの分野を得点源にするか考えるとよいだろう.
また, 同社が発行する月刊誌公務員試験受験ジャーナル 6 ヶ月分も送られるので, 情報収集にも役に立った.
私がこの講座に付属する 3 回の模擬試験 (1 月, 2 月, 3 月) に参加したところ, 国家公務員Ⅱ種試験クラスで B 判定が 1 回, C 判定が 2 回だった.
私にとって, 正答率が上がらないという意味で最後まで足かせになった文章理解問題の対策本. おそらく定番の本だが, 結局この内容を身につけることはできなかった.
私にとって, 時間を非常に多く取られるという意味で最後まで足かせになった判断推理問題の対策本. 論理式関連の問題を復習する際に, この本を片手に学習するといい感じ.
私にとって, 比較的短時間で正解にたどりつける数的推理問題の対策本. 数学に比較的強い人はすんなり身につくだろう.
私にとって, 時間を非常に多く取られるという意味で足かせになった資料解釈問題の対策本. 比較検算の計算時間を減らすコツが豊富に掲載されているので, この分野を得点源にできたと思う.
私にとって, 数学・物理に関しては専門分野と重なる部分が多いの で, これらの分野に関してはさらりと流した. 化学も高校時代の得意分野であったので, ここも何とかなった.
一方, 生物・地学の分野は未知な上に, 暗記事項が多いので手間取った. ただ, 私は人文科学分野を大の不得意としているので, 人文科学はある程度捨ててこちらの学習に割り当てた.
私はこの分野を切り捨てて勉強したので, 試験の 1 ヶ月前に眺めた程度だった.
この分野の総仕上げとしてこの本を利用した. が, 普段から新聞を読んでおくことが大事.
化学, 農学, 人間科学以外の分野 (大学でいえば工学部が担当する分野) には, 必ず工学の基礎分野として数学, 物理の試験が課せられる.
国家公務員の試験は教養試験よりも専門試験の比率が高い (教養を 1 とするならば, 専門は 1.5 から 2 程度) ので, 早めに完成しておきたいところである.
ワークブックに掲載されている例題が少ないので, どの分野から出題されるのかを把握するための資料として使うのが正解なのだろうか.
また, 5 回分の模擬試験 (マーク式 + 提出不要の記述式) が付属しているが, 問題の難易度が非常に高いため, 解けなかったとしても悲観する必要は無い. しかし, 復習はきちんとするべきだ. 国家公務員Ⅰ試験を受けるならば, 遅くとも二次試験の前までには完全にものにしたい.
よくまとまっていると思う. ただし, 掲載されている問題にかなり難しいものも混じっているため, 高校や大学で使った教科書や参考書があれば, それらで扱っていることを十分に理解した上で総仕上げに使うことをお薦めする.
なお, この技術系よくでるシリーズでは情報工学の分野がやや弱いので, 基本情報処理技術者 (可能ならばソフトウェア開発技術者) を取得するつもりで試験勉強を並行して行っておくとよいだろう.
一次試験の過去問題セレクションの他, 二次試験の過去問題が載っている数少ない書籍. ただし, 記述式問題の模範解答は無いので, 信頼できる教師がいない場合は使用をお薦めできない.
こちらは問題数が少ないが, 記述例とポイントが掲載されているので, 実際に自分で解いてみて, 模範解答と見比べてみよう.
本番に臨む前に一度は受けておきたい模擬試験. 私は国家公務員Ⅰ種, Ⅱ種の模擬試験を, 合計で 10 回受けた. 3 回は先に紹介した上級公務員教養試験受験講座に付属する模擬試験で, 5 回はこの後に紹介する択一フル模試である.
技術系をカバーした模擬試験を行っているところは, 今のところ (2004 年現在) LEC の他には無いだろう.
問題のレベルに関しては本試験にかなり近いレベル (やや易?) になっているので, この模擬試験で 7 割を取れるようにすることがよい目標になるだろう. また, 教養論文模試もあるので, 少なくとも一度は添削を受けてみよう. 文章構成力と発想力は, 一度は他人にチェックしてもらわないと善し悪しが分からないからである.
国家公務員Ⅰ種試験では, 採用予定の 6 倍程度が一次試験を合格し, 採用予定の 3 倍程度が最終合格者になっている (理工Ⅰ). また, 国家公務員Ⅱ種試験では, 採用予定の 2.8 倍程度が一次試験を合格し, 採用予定の 2 倍程度が最終合格者になっている (電気・電子・情報).
これらの事実から, 二次試験の面接で 3 割程度が脱落していることが分かる (国家公務員Ⅰ種試験では, 二次試験でも記述式試験を課すので, 面接だけで 5 割が脱落するわけではない.).
また, 最終合格後に各官庁で採用面接を受けることになるので, 面接対策はおろそかにしてはならず, 寧ろ, あなたが想像している以上に重視しておくべきであろう. (筆者は面接対策が遅れたために官僚になることができませんでした...)
技術系ならば, 白書よりも先にこれらの本を見ておく方がよいだろう. 面接の心構え, よく問われる内容が書かれている. 少なくともこれらの本に書かれている質問に対しては, 実感を込めて滞りなく答えられるようにしておきたい.